隻狼 SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE — 刀を交えることの美学、FromSoftwareの到達点

タイトル隻狼 SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE
プラットフォームPS4 / Xbox One / PC(Steam)
発売日2019年3月22日
開発元 / 発売元FromSoftware / Activision
ジャンルアクションアドベンチャー
Metascore91(PS4)/ 90(PC)
OpenCritic90 / Mighty(クリティック推奨率 96%)
HowLongToBeat(メイン)約30時間
HowLongToBeat(完全)約38〜40時間
トロコン難易度7 / 10(PSNProfiles コミュニティ評価)
トロコン平均時間60〜80時間
完了状況トロコン済み
自分の評価10 / 10

ゲーム概要

時は戦国。竜胤の力を持つ若き主・九郎を守る忍び「狼」を操り、葦名の地で繰り広げられる剣戟アクションだ。開発はダークソウルシリーズで知られるFromSoftware、ディレクターは宮崎英高。

ダークソウルと大きく異なるのは、スタミナゲージもビルドもない「純粋なアクションゲーム」である点だ。敵の攻撃を弾く(はじく)ことで「体幹(ポスチャー)」を崩し、忍殺で仕留める。回避でなく弾きが生存の基本という、これまでのアクションゲームの常識を覆すシステムが最大の特徴。死んでも一度だけその場で復活できる「回生」も搭載されており、絶体絶命の逆転劇が生まれやすい。

舞台は戦国日本をベースにした幻想世界。葦名城の石垣、仙峯寺の山中、源の宮の幻想的な桜の水中宮殿など、圧倒的なビジュアルが広がる。鉤縄による縦方向の移動も特徴で、高所からの忍殺や建物の間を飛び渡る爽快感は他のゲームにはない体験だ。

世界中の評判まとめ

The Game Awards 2019でGame of the Yearを受賞。Metacriticスコアは91(PS4)と、FromSoftwareタイトルの中でも最高峰の評価だ。OpenCriticではクリティックの96%が推奨という驚異的な数字を叩き出している。

主要メディアの評価軸は「戦闘システムの革新性」に集中している。IGN・GameSpot・Eurogamerはいずれも「これまでのアクションゲームにない体験」と評し、体幹システムとパリィ中心の戦闘設計を特に高く評価した。一方で「難易度の高さ」については、「習得曲線が急すぎる」という否定的意見と「その難しさが達成感を生む」という肯定意見が真っ二つに分かれた。

プレイヤー評価でも「史上最高のボス戦」として剣聖 葦名一心が繰り返し挙げられる。「Souls系の中で最も公平な難易度設計」という声も多く、理不尽な死が少なく「なぜ死んだか」が明確にわかる点が評価されている。

実際にプレイしてみた感想

開始早々にドハマりした。世界観がたまらず好きな奴。

最初は「体幹ってなんだよ!」と思っていたが、慣れてくるとジャストガード&体幹削りから忍殺が決まった時の気持ち良さに時間を忘れてプレイするようになった。ダークソウル系とはまた一味違ったプレイスタイルで難易度はかなり高めだったが、これまでにない体験をさせてくれた。間違いなくこの時点では忍者ゲームとしては最高だ。

牛(獅子猿)と猿のボスはトラウマ級だった。しかし人間系のボスたちは、恐ろしく強いにもかかわらず何度挑んでも手詰まり感がなく、絶妙な「強すぎ度」が充足感を生んでいた。倒した時の「また戦いたい」という感覚は他のゲームではなかなか味わえないものだ。

トロコンについて

結論から言うと、バックアップデータを活用して2周でトロコンを達成した。

SEKIROのトロコンは複数エンディングの取得が必要なため、周回プレイが避けられない。恒例のマラソン行事は最後に「心を無」にして取り組んだのを覚えている。2周目もすこぶる楽しくプレイできたが、獅子猿と白蛇のボス戦が本当にトラウマ級だったという印象だけが強く刻まれている。

難易度7/10(PSNProfiles評価)というのは妥当な数字だ。純粋にアクションスキルが問われるため、慣れるまでの壁は高い。しかし一度体幹システムを体得してしまえば、2周目は1周目より遥かに快適になる。「隻狼をトロコンすれば、トロコンできないゲームなんてないんじゃないか」という謎の自信が湧いてくるのも事実だ。

PSNProfilesのトロコン平均時間は60〜80時間と出ているが、アクションが得意なプレイヤーはもっと短縮できる。バックアップを活用した周回管理が攻略の鍵だ。

MODについて(PC版)

PC(Steam)版には個性的なMODが充実している。

まず見た目変更系が豊富で、鬼滅の刃の炭治郎、FF7のクラウド・ティファ・セフィロス、ベルセルクのガッツなどのスキンMODが人気だ。中でも「宮崎スキンMOD」(宮崎英高ディレクターの顔に変更)が異様に人気が高いらしく、シュールすぎる。白蛇を機関車トーマスやムカデに変えるMODも存在し、あのホラー演出がギャグに変わる。

個人的に最も試してみたいのが「Shadows Buff Twice Mod」だ。倒したボスの能力を自分の技として使えるようになるという内容で、葦名弦一郎の技やら一心の技やらを狼が使えるというのは純粋に楽しそうだ。

ゲームプレイを根本から変える系では「Resurrection」や「Long May The Shadows Reflect」といった難易度調整・新ボス追加MODが何周遊んだ後でも新鮮さをくれそうだ。Easy化MODも存在するが、それで面白くなるかどうかは甚だ疑問。SEKIROの面白さは「難しさ」そのものに宿っているから。

このゲームが教えてくれること — 戦闘設計の哲学

SEKIROの戦闘には一貫した哲学がある。「逃げるな、向き合え」だ。

全ての攻撃には前兆がある。突きの前には特定のモーション、薙ぎ払いの前には体重移動、危険な攻撃の前には「危」の文字。理不尽な攻撃は存在しない。死ぬたびに「なぜ死んだか」が明確にわかる。それがSEKIROを「難しいが公平」たらしめている。

弾き / ミキリ反撃(突きに踏みつけ) / ジャンプ蹴り(薙ぎ払いを飛び越え)。この三択を正しいタイミングで選び続けること。それだけが求められる。

剣聖 葦名一心はその集大成だ。第三形態まで続く長期戦の中で、それまでのすべての戦いで学んだことが試される。倒した瞬間の体験は「クリア」でなく「悟り」に近い。これがレベルや装備に頼らず、自分自身のプレイスキルだけを磨き続けることで到達する「真のレベルアップ」の正体だ。

総評

レベルや装備に頼らず、己のプレイスキルを磨くことが真のレベル上げ — この絶妙さがSEKIROの中毒性を生み出している。他のゲームとの大きな違いであり、この設計思想が今でも色褪せない理由だ。

万人向けではない。難しい。しかしその壁を越えた先にある体験は、他のどのゲームも代替できない。「隻狼をトロコンすれば、トロコンできないゲームなんてないんじゃないか」という謎の自信が湧いてくるほどの充実感がある。

こんな人におすすめ:アクションゲームが好きで、歯応えを求めている人。ダークソウル経験者はもちろん、「上達する喜び」を体感したいすべてのゲーマーに。

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