ペルソナ5 ザ・ロイヤル レビュー — 女神転生ファンを沼に突き落とした、生活ゲーの完成形

正直、ペルソナシリーズをプレイしたのはこれが初めてだった。女神転生シリーズは大好きで、初代は当時クリアまで行ったし、II以降も触る程度には遊んでいた。悪魔合体システムや仲間にできる敵キャラクターは「よーくわかってるつもり」の距離感だ。そんな状態でペルソナ5 ザ・ロイヤルをプレイしてみた結果、この記事のタイトルが示す通り、きっちり沼にハマった。

結論から言うと、めちゃくそ面白かった。キャラが魅力的過ぎる。ストーリーも良すぎる。システムも良くできている。賛辞の言葉が稚拙になるくらい、一度プレイしたら終わってほしくない類のゲームだった。同じフロムゲー愛好家としてダクソやSEKIROをやってきた人間でも、ペルソナ5 ザ・ロイヤルは毛色の違う”生活ゲー”としての完成度で殴ってくる。今回はその魅力を、プレイ体験の記憶とともに書き残しておきたい。

ゲーム情報

タイトルペルソナ5 ザ・ロイヤル(Persona 5 Royal / P5R)
プラットフォームPS4 / PS5 / Xbox Series X|S / Xbox One / Nintendo Switch / PC(Steam / Windows Store)
発売日PS4版: 2019年10月31日 / マルチプラットフォーム版: 2022年10月21日
開発元アトラス(P-Studio)
発売元アトラス / セガ
ジャンルジュブナイルRPG / ターン制コマンドバトル
Metascore95(PS4版 / 2020年の最高スコア)
OpenCritic95 / Mighty
HowLongToBeat(メイン)約106時間
HowLongToBeat(完全)約146時間
トロコン難易度3/10(無印よりかなり易化)
トロコン平均時間約100〜130時間(1周で可能)
プレイ時間100時間超(気がつけば超えていた)
完了状況トロコン済
自分の評価10 / 10

ゲーム概要

ペルソナ5 ザ・ロイヤルは、2019年にPS4で発売された『ペルソナ5』の完全版だ。無印版に対して新キャラクター「芳澤かすみ」「丸喜拓人」が追加され、3学期という完全新規のストーリーも実装。ダンジョンの構造やバトルバランス、UIまで全方位にブラッシュアップされた、実質的に”決定版”と呼べる内容になっている。

ゲームの構造としては、高校生の主人公が昼は学校生活・放課後は仲間との交流・夜は怪盗団としてパレスに侵入という1日サイクルで進む。時間はリアルに流れ、1年間の学園生活のなかで「心を盗む」活動を重ねながら、社会の歪みを暴いていく。ジュブナイル(思春期もの)×ターン制RPGという組み合わせに、悪魔合体的な仲魔(ペルソナ)融合システムが載っているのが女神転生シリーズの血統を感じさせる部分だ。

2022年10月には PS5 / Xbox Series X|S / Xbox One / Nintendo Switch / PC 向けに、マルチプラットフォーム版となる本作が発売された。PS5/XSX 版は 4K/60fps 化されており、全機種共通で PS4 版では別売だった 40 以上の DLC がすべて最初から収録されている。これから始めるなら、所有ハードに合わせてこちらを選ぶのが無難だろう。

世界中の評判まとめ

評価は化け物じみている。Metacriticスコア95は2020年のゲームで最高スコアを叩き出した数字であり、OpenCriticでもMighty評価を獲得している。

海外メディアも軒並み絶賛で、IGNやGameSpot、Destructoid、Push Squareといった主要レビュアーがほぼ満点に近いスコアを付けている。評価の軸はどこも似通っていて、「無印版を既に傑作と呼んでいたのに、ロイヤルで更に進化してしまった」「3学期の追加ストーリーが蛇足どころか本編を再定義するレベル」「スタイリッシュなUI、BGM、アニメーション演出が業界の水準を引き上げた」といった論調が並ぶ。

国内の反応も同様で、ファミ通のクロスレビューは満点オール。ユーザー評価でも「おしゃれさNo.1」「RPGの完成形」「社会問題を取り入れた骨太なストーリー」といった評が目立つ。批判らしい批判は「長すぎる」「一部LGBT表現が古く感じる(その後のローカライズで修正)」くらいで、ゲーム本体の出来に文句をつける声はほぼ見当たらない。

こういう「万人向け」評価のゲームは、いざやってみると「うーん、世間で言われてるほどかな?」となることが個人的には多いのだが、ペルソナ5 ザ・ロイヤルに関しては素直にその評価に納得した。むしろ「この点数でも控えめなのでは?」と感じるくらいだった。

実際にプレイしてみた感想

最初に驚いたのは、UIのカッコよさだ。メニューを開くたび、戦闘に入るたび、マップを移動するたびに画面全体がアニメーションしてレイアウトが組み変わる。ただの「画面遷移」が、ずっとスタイリッシュな演出として機能している。ゲームって、こういう「手触り」の部分でここまで没入感が変わるのかと感心した。

バトルは女神転生譲りの弱点突き&1 More、仲間との総攻撃(オールアウトアタック)で敵を一掃する爽快感がたまらない。序盤こそペルソナの種類が少なくて地味だが、合体が解禁されて自由に育成できるようになると一気に化ける。女神転生をやってきた人間からすると、ペルソナ5の合体システムは「よく整理された女神転生」という印象で、入り口は優しく奥はちゃんと深い。

しかし、このゲームの本質はやっぱりキャラクターと生活だ。怪盗団のメンバーとの交流、コープ(協力者)との絆、学校や放課後の何気ないやり取り。そのひとつひとつがやたらと丁寧で、気がつけば「このキャラクターたちの一員として過ごしている」感覚になっている。時間縛りがあるからこそ全体が良くまとまっていて、「今日は誰と遊ぶか」「どこに寄るか」の選択が毎日の生活の重みになる。

そして一番やられたのがキャラクターの魅力だ。最初はパンサー(高巻杏)の圧倒的な華やかさに胸を熱くしていたが、途中でナビ担当のフタバが加入すると「この子ヤベェ」となり、そして中盤で登場するクイーン(新島真)に完全にやられた。クイーンのバイクに跨ったシーン、あそこで筆者は完全に落ちた。終わってからも燃え尽き症候群で何も手につかず、気がついたらクイーンのフィギュアを買っていた。こんなゲーム、そうそうない。

終盤、物語のクライマックスが見えてくると「このゲーム、終わってほしくないな」と真面目に思った。100時間以上プレイしてなおそう思わせるゲームは、筆者の人生でも数えるほどしかない。

実際のプレイ時間

HowLongToBeatのメインストーリー平均は約106時間、完全クリアで約146時間。正直、最初にこの数字を見たときは「ながっ」と思った。しかし始めてみると時間の感覚が完全に狂う。「今日はあと1日だけ進めるか」と思ったら気がつけば5時間溶けていて、休日はさらに溶けた。

筆者の場合、1周目で100時間を軽く超えていた。パレス(ダンジョン)攻略、コープイベント、サイドクエスト、勉強や読書や喫茶店のバイト──全部やろうとすると普通にHowLongToBeat平均に乗ってくる。しかもそれが苦にならない。移動時間すら楽しい。これが1年間を凝縮した「生活ゲー」の恐ろしさだ。

トロコンについて

PSNProfilesでのトロコン難易度評価は3/10。かなり優しい部類だ。無印版のペルソナ5は「書籍を全部読む」「DVDを全部観る」「全コープMAX」などの要求があって結構な苦行だったらしいが、ザ・ロイヤルはそこが大幅に簡略化されている。

最大の変更点は、1周目でトロコン可能だということ。周回必須のマラソン系トロフィーがほぼ削られて、「この行動を一度でもすればOK」の一発取り系がほとんどになった。社会スタッツ(知識・度胸・器用さ・優しさ・魅力)5種をMAXにする「Pure Perfection」だけは少し計画が必要だが、これもNew Game+に持ち越し可能なので、最悪2周目で回収できる。

不毛な作業も少なく、1周目でトロコンまで走れる気持ちよさがある。おかげでゲームそのものに集中して遊べて、トロコン作業の中にもサブストーリーの新しい発見があった。達成感もある一方で「苦行だった」という記憶はほとんど残らない、良質なトロコン体験だった。ただし、攻略サイトなしで完全自力トロコンはかなりキツいので、計画的にやるならガイドを1つブックマークしておくのがおすすめだ。

MODについて(PC版限定)

PC版(Steam / Windows Store)ならMODで遊びの幅を広げられる。日本語情報はまだ少なめだが、Nexus Modsを中心にいくつかの人気MODが出回っている。

  • ビジュアル変更系: 衣装・顔グラ・テクスチャ差し替え。主人公を女性化するMODなども存在するが、適用すると会話がすべて英語に戻るという弊害あり。日本語でプレイしたい場合は注意
  • 進行補助系: 所持金やスキルカード、社会スタッツのブーストなど。2周目以降に効率化したい人向け
  • Expansive Persona Compendium Mod: 旧SMTシリーズのペルソナや、ソニックなど他IPのキャラまでペルソナとして大量追加できるカオス系MOD。既存ペルソナ愛好家には狂喜乱舞もの

ちなみに公式で売られているペルソナパック(他ペルソナシリーズからのゲスト召喚枠)も試してみたが、個人的にはそこまで愛着が湧かないという不思議な現象に遭遇した。ペルソナ5という枠のなかで出会ったペルソナこそが相棒になる、という感覚なのかもしれない。見て楽しむぶんには面白いが、常用するかというと微妙なところ。

総評

もう、言うことは最早ない。ただひたすら楽しむべし、というのが正直な結論だ。

システム、演出、音楽、キャラクター、ストーリー、ボリューム、トロコンのバランス。そのどれもが一級品で、極端に尖った要素がないぶん弱点もない。RPGとしての骨格、生活シミュレーションとしての満足度、ジュブナイルとしての爽やかさ、ダークな社会批判としての鋭さが全部同居している。これだけ全方位で高水準なゲームは、家庭用ゲーム機の歴史全体でも数作しか思いつかない。

こんな人におすすめ

  • ジュブナイルRPGをじっくり遊びたい人
  • 女神転生シリーズは好きだけど、ペルソナは触っていなかった人(筆者もそうだった)
  • キャラクターに惚れ込んで”生活したい”タイプのプレイヤー
  • 100時間級の長編RPGに腰を据えて挑みたい人
  • 苦行系ではなく、1周で気持ちよくトロコンできるゲームを探している人

逆に、短時間でサクサク遊びたい人や、アクション偏重の体験を求めている人には合わないかもしれない。それでも一度騙されたと思って遊んでみてほしい。終わる頃には、クイーンのフィギュアを検索している自分に気がつくはずだ。

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